2021年9月8日、当法人が支援する「平成29年7月九州北部豪雨朝倉被災者の会」が、朝倉市に対し更なる被災者支援を求める要望書を提出しました。以前、当ブログ(災害公営住宅・柿添団地でアンケート調査を実施しました)にて災害公営住宅(杷木団地・柿添団地)でアンケート調査を実施したことをお伝えしておりましたが、そのアンケート調査を受けて要望事項をまとめたものです。
九州北部豪雨から4年が経過しましたが、復旧工事も未だ道半ばです。また、被災者が抱える問題は複雑化しています。人口減少や過疎化、高齢化など日本全体が抱える社会問題とも深く絡み合っているためです。
例えば、被災前は持ち家に居住し農業を営んでいた方は、現在は災害公営住宅に居住し、どうにか家賃を支払うことができているが、義援金等を切り崩しながら生活を維持しているだけで、それが尽きてしまえば、農業の再開も難しく生活が立ち行かなくなってしまう可能性が高い方もいらっしゃいます。
今回の要望では、加算支援金の申請期限の延長や地域コミュニティの維持再生に向けたソフト面での支援、災害公営住宅での生活の利便性を高める施策の実施など8項目を求めていますが、最も強く求めたのは、災害ケースマネジメントの実施体制の構築です。
朝倉市は、災害ケースマネジメントに類似する事業として「地域支えあいセンター事業」を朝倉市社会福祉協議会に委託する形で実施し、2021年4月からは朝倉市自身が同事業を引き継ぐ形で現在も実施しております。同事業は、各被災世帯を「支援区分」に分け、その区分に応じて、支援員が訪問や電話連絡を行う回数等を決め、訪問等の結果明らかとなった問題を解決したり関係各所に誘導したりするという内容です。
ただ、アンケート調査の結果では、同事業を知らない、または役に立たなかったと回答した世帯が相当数ありました。
この事業自体、全国でも実施事例が少なく、各自治体も手探りで行っているのだと思われます。
朝倉市に限らず、昨今全国的に増加傾向にある豪雨災害に備えるためにも、朝倉市の事例を教訓にすることは必須だと思います。
また、息の長い支援を行うには、地域ごとに支援体制を組む必要があります。
朝倉市長からは、「被災者の家庭環境健康状態だけでなく、その方々のお住まい、新たに住まいを構えようとされる方に対し、安全性や普及のスケジュール等をしっかり踏まえて、行政区やコミュニティの皆さんとの連携、協力して、方向性や具体的施策を協議している。今後、復興推進室、支え合いセンターを引き継ぐ形で、被災者再建に向けて努力したい。」との言葉があり、要望書を前向きに捉えていただけたと信じております(信じたいという表現のほうが正確かもしれません)。
当会は、この要望書の実現に向けて今後も朝倉市を中心に関係各所と協議を重ねていく予定です。まずその手始めとして10月中を目途に要望書に対する回答を朝倉市から受け取る予定になっていますので、このブログでもまたご報告できればと思います。
朝倉オフィス 弁護士坂口裕亮
平成29年7月九州北部豪雨からの復興・生活再建に関する要望書