今般、九州・山口医療問題研究会所属の弁護士3名体制で取り組んだ医療過誤事案について解決に至りましたので、ご報告させていただきます。
なお、過去の解決事例については、当ホームページ(取扱い事件)にも掲載しています。
<事例分野>医療・介護事故
<解決年度>2023年
事案としては、長年子宮筋腫・卵巣嚢胞について経過観察を受けていたが、近年卵巣嚢胞の悪性所見が見られたため卵巣摘出術を受けた。術後の病理検査において良性と判断されたが、約1年半後に癌の転移が発覚した。
医療機関は、どこからの癌の転移か精査中に、患者側から指摘を受けて前回手術にて摘出した卵巣標本の再切り出しを行ったところ、その標本から癌が発見され、術後の病理検査において見落とされていた事実が発覚した。その後抗がん剤治療が行われたが、十分な効果が見られずに亡くなったというもの。
本件では、癌の見落としについての過失は明らかであったものの、仮に術後まもなく抗がん剤治療を行った場合には結果は回避できたかという因果関係が特に争われた。
卵巣嚢胞についての専門医の協力や医学文献での主張立証を経て、病理医らの尋問を行い、病理医らによる謝罪を受け、また上記過失と死亡との間の相当因果関係を前提とした損害について、一定の解決金を受領することにて和解した。
弁護士 池永真由美(本部オフィス)