本件は、自宅裏の土地がもう何年も放置されているので、裏の土地を取得して自宅の敷地を広げたいというご相談から始まったものですが、登記簿上の土地の所有者は既に亡くなっていると思われ、その相続人の特定が必要となりました。
戸籍をたどり調べてみると、登記簿上の土地所有者は30年以上前に亡くなっており、配偶者もその数年後に亡くなっていることが判明しました。また、お子様達は相続放棄をされていました。そこで、配偶者の親兄弟も亡くなっていたためその甥姪と相続人を特定し、任意に持分の譲渡を受けることができましたので、土地の持分の大半を取得することが出来ました。
残りの土地の持分については、お子様達が相続放棄をされていたので、所有者の親兄弟について調査が必要でした。所有者が亡くなって30年以上が経っているため新たな相続が発生しており、これを戸籍でたどっていくと、その相続人は実に40数名に及ぶことが判明しました。
これらの相続人の特定作業に数カ月を要し、また司法書士の先生や法務局の事前確認などのチェックも受けながら作業することになりました。
そして、この40数名について、個別に交渉することは現実的に困難でしたので、こちらは一部所有者として、裁判所に対して、40数名を被告として、共有物分割請求訴訟を提起し、残りの部分について適切に代償金を支払って土地全体を取得することが出来ました。(2023年)
弁護士 池永真由美(本部オフィス)