新年、明けましておめでとうございます。
コロナ禍という未曾有の事態に世界が翻弄された1年がようやく終わり、新しい1年が始まりました。ワクチン開発が進んでいるとの明るい兆しもあります。希望を持って、新しい一歩を踏み出したいと思います。
私たちは10年前の3月11日、東日本大震災と福島第一原発事故という未曾有の事態に遭遇しました。
学生運動を経験したことのない私たちのような世代にとって、福島第一原発事故後の世界は、私たち一人ひとりが未来を選択し、切り拓いていく、そのような未開の荒野でした。そのような気負いにも似た高揚感を胸に、多くの人々と繋がり、多くの課題に取り組み、多くの喜びとともに多くの挫折を経験した、そのような10年でした。
あれから10年、政府と一部の企業はいまだに原子力発電にしがみつき、福島第一原発事故の責任を総括することはおろか、事故によってもたらされた未曾有の環境汚染や人生を破壊された被災者の被害に正面から向き合うこともできないでいますが、その一方で、私たちの社会は、事故後の劇的な技術革新の力も借りつつしなやかに変化を続け、原子力発電に依存しない社会へと生まれ変わろうとしています。
この度のコロナ禍によっても、多くの命や暮らしが失われ、この社会が抱える矛盾と格差はますます拡大しています。しかし、どれだけの犠牲を支払ったとしても、この禍を、この社会をより良い方向に前進させていくための契機にしていかなければならない、その力量が試されているのだと信じます。
これからの10年、時代の奔流のなかで、私たち法律家が果たすべき社会的使命を模索しつつ、また一歩ずつ前進して参りたいと思います。
本年が皆様にとって幸多い一年となりますように。
2021年元旦
弁護士法人奔流 代表社員弁護士 池 永 修