事案としては、高齢者施設において利用者が立ち上がった際に掴んだ同人の椅子が回転式の椅子であったため、転倒するに至ったというものです。
本件では、事案発生時、利用者が歩行不自由な状態であったことには争いがなかったため、回転式の椅子を利用させたこと等の過失は明らかでした。
しかし、施設は、当初、利用者の治療期間が長引いたのは別の疾患に罹患したものとして、治療費や治療期間等について因果関係を争ってきました。また、利用者の過失も主張し、過失相殺による減額を主張してきました。
これについて、当方(利用者側)は、カルテを詳細に検討し、利用者が別の疾患に罹患した後も、転倒によるリハビリ治療が続いていたことを主張し、反論しました。
また、本件について、判例を参考に利用者の過失は問題とならないなどと反論もしました
その結果、示談書において、施設からの謝罪と再発防止に向けて取り組むことを盛り込むことができ、また当初の提示を大きく超える解決金を受領することで和解しました(2025年)。
弁護士 池永真由美(本部オフィス)・弁護士 松嶋健一(粕屋オフィス)