2/12、福岡市科学館ホールにおいて開催された九州アドボカシーセンター主催のセミナーを、オンライン配信(Zoom)により拝聴しました。
同センターが立ち上げられた2004年来、協力事務所の一職員として関わってきましたが、勤務地等の事情によりこの数年は関わることが少なくなっていました。
昨春以降の新型コロナウィルス拡大により、一時は「開催する」「集まる」ことが困難となっていましたが、Zoom視聴も導入されたため、会場に足を運ばずとも参加可能となり、前回セミナー(10月)に続いてのリモート参加です。
同センターは、福岡市(当初所管は福岡県)の認証を受けている特定非営利活動法人(NPO)で、創設以来、福岡県内に拠点をおき、九州各地の法律事務所、弁護士の協力を得ながら、各地、各分野において人権侵害を是正し人権擁護活動を進めている市民団体等と交流を促進する活動を行っています。
今回の講師は、弁護士登録以来、「労働者代理人」として労働事件の一線で奮闘されている井下顕、星野圭の両弁護士(いずれも福岡県弁護士会所属)。
「正規労働者と非正規労働者の格差を考える~わが国における同一労働同一賃金原則」をテーマに、最新判決の傾向や、昨年勝ち取られた判決の紹介等がなされました。
労働裁判は弁護士だけでは勝ち取れるものでなく、(正規、非正規に関係なく)職場同僚をはじめ周囲の支援があってこそです。法廷内だけでなく法廷外での連帯・共闘が不可欠と言えます。
今、コロナの影響により裁判によっては口頭弁論(裁判所の法廷で公開により開催)を開かずに、電話またはウェブにより裁判が進められています。コロナの影響を受ける前からIT化が進められていたところではありますが、弁護士にとっては裁判所に足を運ばずとも手続を進められるという利点がある一方で、労働事件や薬害・公害訴訟、環境・住民訴訟など多くの労働者・市民の支援を受けて訴訟を進めてきた側としては十分注視しておく必要があります。
正規・非正規労働者の格差は、賃金格差、相対的貧困、男女間格差の主な原因と言われています。日本の相対的貧困率は先進国の中でも極めて高いとも言われています。
個別の労働事件に取り組みつつ、講演最後に井下弁護士が「世の中自体を変えていく契機」と締めくくられているように、国の施策や企業の経営方針を改めさせるといった「世直し」をする弁護士が、今、求められているかもしれません。
同センターでは、今回のセミナーのように、各種人権擁護活動に従事する人たちを系統的に養成・援助するために、法科大学院生や市民ボランティア等に対する定期的な研修会等も開催しています。近年開催のセミナー内容については、本ホームページ内にも掲載しておりますので参照ください。
また、養成活動の一環として、現在、法律事務所エクスターンをお受けしています。本年度(前期)実施期間は本年2/1~3/26ですので(最終申込3/5)、興味をお持ちの方、お知り合いの学生さんがおられましたら同センター事務局(弁護士法人奔流内・電話092-642-8525)まで御連絡ください。
これまでの同センター主催の講座やイベント等を受講・体験された数多くの学生さんたちが、現在、弁護士登録後、九州各県で活躍されています。
粕屋オフィス事務局
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格差社会、弁護士はどう立ち向かう
若杉山でデイキャンプ~かすや巡り2021②
本日2/23は天皇誕生日。
自粛生活で心も体も引きこもりがちになっているため、春のような暖かさの中、しばしの癒しを求めて、家族で若杉山楽園キャンプ場(糟屋郡篠栗町)に行ってきました。
山頂付近にあるため、糟屋郡を一望できる絶景が広がっていて、炊事場も完備されており、バーベキューを楽しんでいる人で賑わっていました。
どっしりと巨大な杉群が構えている遊歩道には、米の山展望台に向かう登山者もいました。
近くには、若杉山麓若杉の湯という温泉があります。夏には、流しそうめんをしているようですので、暑くなったら、また遊びに行こうと思います。
花粉も増えてきて、「外出は避けたいなぁ」という日が続きますが、皆さんも自然を堪能しつつ、体を癒やしてみてはいかがでしょうか。もちろん、感染対策は必須ですね。
なお、粕屋オフィスでは緊急事態宣言期間中も、各施設の感染予防マニュアルを遵守しながら、巡回相談を実施しております。3月も下記日程で実施予定ですので、相談ご希望の際は粕屋オフィスまでお申し込みください。
弁護士 高本稔久(粕屋オフィス)
<糟屋郡内巡回相談>
*糟屋郡の各町内会場をお借りして相談をお受けしています。
3/16(火)13~15時 @須恵町
3/24(水)13~15時 @志免町
<休日相談>
*粕屋オフィスで休日にお受けしています。
3/13(土)10~15時
3/27(土)13~17時
<出張相談><夜間相談>は、随時、お受けしています。
趣味の園芸~鹿角シダ(別名コウモリラン)~
NHKのTV番組「趣味の園芸」の中の~これ、かっこイイぜ!~というシリーズでビカク(鹿角)シダ(別名コウモリラン)が特集されていたのを観て、とても欲しくなり、昨年の9月にヴィーチー、11月にネザーランドという2種類のビカクシダの苔玉を入手しました。
ヴィーチーは、葉はシュッとしていて、葉裏に産毛が生えていて、シルバーに光ってとても美しく、ネザーランドは葉が幅広く存在感のある様が大変格好良いです。
ビカクシダは胞子葉と貯水葉という2種の葉を持っていて、胞子葉は長く伸びて葉先に切れ込みが入って、鹿の角の様になり、貯水葉は株元を覆うように生えて、枯れると飴色になって、皮製品のような渋い姿に変化するそうです。
苔玉なので、2~3週間に1回チャポンと水に浸すだけでいいので、あまり手がかからず、時間が経つほど魅力が増すということなので、これからの生長が非常に楽しみです。
まだほかにも色々な種類がある様なので、違う種類を見つけたら入手したいと思っています。
花壇には、チューリップの芽が出始め、アネモネ(たぶん)が開花しはじめて、これからの季節は花壇が一番賑やかになるので今からワクワクしています。
【2021年3月の朝倉オフィスの出張相談のご案内】
朝倉オフィスでは、毎月筑前町コスモスプラザ(福岡県朝倉郡筑前町篠隈373番地)で無料法律相談会を実施しております。
【3月の相談会の日程】
2021年3月19日(金)13:00~16:30 (筑前町コスモスプラザ)
(定員)3名(1名1時間)
相談ご希望の方は、電話予約制(申込み順に受付)となっておりますので、朝倉オフィスまでお電話下さい。
朝倉オフィス ℡0946‐23‐9933(平日9:00~17:30)
【朝倉オフィスでの法律相談について】
平日の夜間または日曜日にもご相談をお受けしております。
お電話でお問い合わせください。
朝倉オフィス事務局
JELFウェブセミナー:みどりの遺言
2月3日、JELFが主催するウェブセミナーに参加しました。あまり聞き馴染みのない組織かもしれませんが、JELF(日本環境法律家連盟)とは、法律的な知識や手段を使って、環境を保護する活動をしている法律家による全国ネットワーク組織です。具体的には、公害などの環境事件についての差止訴訟などの裁判を行う、環境破壊が問題視されている状況に対して声明文を出すなどといった活動をしています。この度のウェブセミナーも会員の知識や経験を他の会員にも共有してお互いの研鑽を図る目的で開催されているJELFの活動の1つです。
今回のセミナーで取り上げられたテーマは「みどりの遺言」です。JELFでは、遺言をする人がその財産を環境保護団体へ寄付・遺贈することを内容として作成する遺言を「みどりの遺言」と呼んでいます。弁護士であるセミナー講師の経験を踏まえ、「みどりの遺言」を作成するときにあたっての留意点についてお話をいただきました。
遺言の作成にあたっては、遺言をする人が亡くなった際に相続人となる人が存在する場合、その相続人の相続権に配慮しなければなりません。例えば、すべての財産を環境保護団体に寄付するという内容の遺言を作成してしまうと、相続人の遺留分を侵害してしまい、相続が開始された際にトラブルが発生してしまいます。また、場合によっては、相続人となる人から、環境保護団体への寄付・遺贈自体に反対されることがあります。もちろん、遺言は、遺言をする人の自由な意思で作成してよいものではありますが、寄付や遺贈を行うと結果的に相続人が承継する財産が減少する可能性がありますので、相続人の不満を招きかねません。相続開始の際に、作成された遺言が無効であるなどといった無用な争いを避けるためにも、遺言をする人が環境保護団体への寄付や遺贈をすることについて、相続人となる人の理解を十分に得ておくとよいでしょう。
また、遺言を作成するには、その末尾に付言事項を記載することがあります。付言事項とは、法律に定められていないことを遺言書に記載するもので、法的な効力をもたない記載ではあります。もっとも、「みどりの遺言」では、この付言事項を積極的に活用しています。遺言をする人が付言事項として、ご自身の人生を振り返り、どのような経緯で環境保護団体への寄付や遺贈をしようと考えるに至ったのかについて、遺言書に記載することを促しています。そうすることで、遺言をする人がご自身の人生観・価値観を見つめ直すことができ、「社会に貢献したい」「後世に寄与したい」という思いを少しでもサポートすることができるのかと思います。このような付言事項を記載しておくことで、相続人となる方にも遺言をする人の考え方が伝わりやすく、その理解も得られやすいのではないかと考えられます。
多様化が進む現代社会、遺言の内容についても多様化が進んでいます。「みどりの遺言」の作成を考えてみてはいかがでしょうか。
「みどりの遺言」プロジェクトのご紹介ページ:http://jelf-justice.net/
弁護士 北中 茂(宗像オフィス)
1/20 事務職員研修
コロナ禍でなかなか開催できなかった事務職員研修ですが、今回WEBにて、当法人の木下淑文社会保険労務士を講師に迎え開催されました。
テーマは「社会保険」。社会保険とは何か、どうしてこのような仕組みがあるのか、社会保険の種類や加入要件、保険料の仕組みや主な給付(年金を除く)について学びました。また、給与から毎月天引きされている社会保険料の算定の仕方について、実際に給与明細と保険料額表を見ながら確認しました。
社会保険は社会保障制度の一つで国民の生活に深く関わり耳にする機会も多く何となくは理解しておりましたが、特に労働問題とも関わりの大きい労働保険(雇用保険、労災保険)については、失業と離職の違いや離職理由の重要性、各種要件等、知っているようで知らなかったことも多く勉強になりました。
年金制度についても、複雑で難しく感じ苦手意識があるため今後学んでいきたいです。
今回の研修で学んだことを実務にも生かしたいと思います。
本部オフィス(福岡市東区)事務局Y
「継続」
昨年の2月より、何か新しい事を始めたいと思い、お弁当作りを始めました。三日坊主になるのだけは避けようと思い、毎日作り続け早いもので1年が経ちました。作ることよりも、メニューを考えるほうが大変で…。実家にいたころ、毎日ご飯を用意してくれていた母親の偉大さに今さらながら気付きました。
今年も何か始めてみようと思い、先月より毎日20分ほどヨガと軽い筋トレを行うようにしました。今まで全く運動をしていなかったので、始めたその日から筋肉痛になりました。ですが、肩こりが無くなりました!とりあえず1年は続けてみようかと思います。
本部オフィス(福岡市東区)事務局K
冬の味
福岡に緊急事態宣言が出されてから、2週間が経ちました。
宗像オフィスでも時差出勤、在宅ワークを取り入れながら、コロナの日々を過ごしています。
在宅ワークには、少しずつ慣れてきましたが、やはり1人でずっと家にいるのは、寂しいものですね(笑) 出勤日に、所員や依頼者の方々と直接会話ができる喜びを噛みしめています。
さて先日、ある依頼者の方から、ご自身で栽培されたミカンを袋いっぱいいただきましたので、事務所のみんなで美味しくいただきました。とても甘く、まさに冬の味を感じることができました。しっかりとビタミン補給できたので、コロナも寒い冬も乗り切れそうです!
宗像オフィス事務局M
終息祈願してきました~かすや巡り2021①
混雑する時期・時間帯を避けるため、例年よりも遅めとなりましたが、新年の挨拶に、涅槃像で有名な「南蔵院(糟屋郡篠栗町)」へ行ってきました。
新型コロナウイルスが蔓延する前は、毎日、参拝者でにぎわっているところです。私が訪ねた日は、参拝者はとても少ないようで、おかげで三密を避けられたのは良かったです。
南蔵院の境内にはカメがたくさんいます。私が訪ねた日も、首を出してお出迎えしてくれました。
境内はとても静かで、厳かな様子です。とくに、境内の奥、平家岩等がある場所は谷の合間のような場所にあるのですが、水の流れる音が響き、とても癒されます。
そして、南蔵院の本堂も圧倒されますが、なんといっても涅槃像です。全長40メートルはあると聞いたことがあり、とても大きいです。中を見学できるらしいのですが、まだ見学したことがありません。
新型コロナウイルスの影響で、日常が変わってしまい、心身ともに疲弊してしまいますが、皆様も、「感染対策を十分にとったうえで」どこかへ足を運んでみられてはいかがでしょうか。
なお、下記に1、2月の外部相談日をご案内しています。御都合の合う日、御都合の良い方法でお申し込みください。
弁護士 花田 弘美(粕屋オフィス)
<休日相談>
2/6(土)10~15時
2/20(土)10~15時
<巡回相談>
1/26(火)13~15時@須恵町
1/29(金)13~15時@宇美町
<出張相談> 随時、承っております。
<夜間相談> 随時、承っております。
緊急事態宣言と在宅ワーク
新年早々、福岡にも再度の緊急事態宣言が発令されました。昨年の宣言時から裁判期日はその多くが電話やウェブを使って行われるようになっており、今回の宣言によっては裁判期日の延期等の混乱は生じていないようです。
事務所の方では再び在宅ワークの時間が増え、様々な誘惑と葛藤する日々を送っています。リモートワークが普及し、様々なリモートワーク便利グッズが登場しているようです。自宅でも事務所での集中力と同程度の集中力を発出できる便利グッズを発明してくれることを切に願うばかりです。
弁護士 松嶋 健一(本部オフィス・福岡市東区)
朝倉市職員による贈収賄事件について
昨年、当時朝倉市復興推進室係長であった職員が、「特命随意契約」にて復旧工事を受注した会社から賄賂を受け取ったとされる事件が明らかとなりました。
朝倉市は、不祥事再発防止委員会を立ち上げ、昨年12月に報告書(案)を議会に提出しました。
しかし、この案では、同係長が関わったそのほかの復旧工事の発注については何ら調査されていません。また、今回問題となった「特命随意契約」の是非についても明らかにされていません。
本来、公共工事を発注するには競争入札制度を利用するものとされています。それは、公共工事には税金が使われるためです。他方、特命随意契約は、自治体が指名した業者との間で契約を結ぶものですので、競争の原理が働きません。
この「特命随意契約」が今回の贈収賄の温床になったことは言うまでもありません。今後、朝倉市がいう「再発防止」の観点からは特命随意契約の在り方を変える必要があるでしょう。
また、平成29年7月九州北部豪雨朝倉被災者を支える会にて独自に、復旧工事の発注について調べたところ、競争入札においても、市が決めた予定価格とほぼ同額で落札されているものがほとんどです。また、入札に参加した業者のほとんどが辞退しており、競争入札においても事実上競争の原理が働いていません。これでは、談合を疑われても仕方ないのではないでしょうか。
今回の贈収賄事件に関して平成29年7月九州北部豪雨朝倉被災者を支える会は、朝倉市と協議を行う予定(令和3年1月下旬~2月上旬の予定)です。
今回の問題で今なお再建半ばの被災者をはじめ多くの市民は落胆、失望したことと思います。市民が再建に尽力しているなかで一部の人間が甘い蜜を吸っていたのですから。
今回の問題を当該係長個人の資質の問題として終わらせるのではなく、朝倉市政をよりよくするきっかけにできればと思っています。
弁護士 坂口裕亮