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様々な角度から多重債務問題に切り込む~多重債務相談に関する全国協議会から~連載③運動編

(本ブログ3/25,4/1付けのつづきです)
本ブログでは,協議会の中から市民の皆さんにも関連ある一部をご紹介しています。
今回は,生活困窮の方や女性への支援など,運動編(最終回)です。

生活困窮者の自立支援事業における弁護士会の役割
次に,日弁連や弁護士会における生活困窮者に対する支援制度について報告されました。生活の困窮は,労働問題・家庭問題・自殺問題などの社会的な問題に関連するため,注意深い対応が必要とされています。
生活困窮者による相談の特徴として,法的・法的以外の問題を含めて複合的な悩みを抱えていることが多いことが指摘されます。すなわち,本人では具体的に何に困っているのか把握することができていないのですが,とにかくいろいろなことで困っているため,これまでどこへ相談に行けばよいかも分からない方が多数存在していました。そのため,法的な問題を解決するのみでは生活を再建することができない場合が多く,行政その他の機関との連携が不可欠であると言えます。
そこで,日弁連は,毎年貧困問題に関する協議会を開催して,生活困窮者の生活再建に係る問題に取り組み,各弁護士会に対して自治体との連携を呼び掛けています。その上で,各地の弁護士会は各地の実情に応じた取り組みを行っています。例えば,法テラスの司法ソーシャルワークと連携して福祉事務所で法律相談を実施したり,自治体からの要請に応えて支援調整会議に弁護士が参加したりする取り組みが行われています。


多重債務問題を抱える女性への支援
次に,多重債務問題について,女性への支援に重点をおいた司法とソーシャルワークについて報告されました。
多重債務に陥ってしまう原因は様々ですが,その中でも法的な観点からの支援だけでなく福祉的な観点からの支援も必要とする類型も様々存在します。例えば,DVや虐待被害の一環として本人名義で借入れを行ってしまったり,特に診断を受けてはいないが軽度の知的障害や学習障害を有し金銭管理が不得手であったりする場合があります。
こういった方についての多重債務問題については,人生のある時点における債務の整理だけでは,多重債務に陥った根本的な問題を解決することにはなりません。福祉的な観点を持ちながらそう言った方々に向き合って,司法のスタンスと福祉のスタンスの違いを理解することが必要となってきます。債務整理の相談を契機に福祉的な介入につなげることはDVや虐待の予防にもなり得ることを共通認識として広げるべきとの意見が出されました。
また,地域によっては,風俗店で働く女性の法律相談を実施して,その就労支援,障害者手帳の取得,生活保護の案内,摂食障害等の対応に強いクリニックや自助グループの紹介に取り込んでいる地域も存在します。名古屋の風テラスが名古屋市の仕事・暮らし自立サポートセンターと連携して,そのような活動を行っています。

最後に
このように,今回の協議会においても,近時の法改正・社会情勢に注目しながら,様々な角度から多重債務問題に切り込み,それをどのように解決することが相談者の抱える問題を解消することになるのかについて充実した意見交換が行われました。このような全国的な協議会に参加すると,全国各地の弁護士一人一人が同じ信念をもって知恵を絞りながら共通の課題に取り組んでいることが感じられます。さらなる議論を重ねていき,改めて,多重債務問題の根絶につながるよう日々奮闘していきたいとの思いを強くしたものでありました。
(おわり)

弁護士 北中 茂(宗像オフィス)

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花が咲きました③

朝倉オフィスに咲いた花をお届けします。

 朝倉オフィス 事務局

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花が咲きました②

朝倉オフィスに咲いた花をお届けします。

 朝倉オフィス 事務局

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花が咲きました①

新型コロナウィルスの報道が連日テレビで放映されており、いつまで続くのだろうと思っていたところ、緊急事態宣言が発令され、裁判の期日が取り消されるなど、業務に影響がではじめたところですが、緊急事態宣言前の朝倉では、道行く人や、商業施設にいらっしゃる方、当オフィスを訪問される方等、マスクをしている方は少ない印象を受けていました。
緊急事態宣言後は、マスク姿の人が増えたような印象です。やはり、皆様、緊急事態宣言が発令されたことで、意識が変わられたのかなと感じているところです。
この状況がいつになったらおさまるのかなど不安はつきませんが、朝倉オフィスの植込みに昨年の秋に植えた球根の花が咲き始めたのを眺めて少しだけ癒されているところです。

朝倉オフィス 事務局

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コロナの影響による裁判所の体制について

 昨日付け本ブログでも第一報としてお知らせしておりましたが、4月8日、福岡を含む緊急事態宣言の発令により、福岡地方裁判所でも5月6日までに既に指定されていた裁判期日を次々に取消(新たな期日については追って指定)される事態となりました。

 詳細については、東京地方裁判所のホームページにも掲載されています。
  https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/2020/020407korona-kijitu.pdf

上記ホームページより、一部引用しますと、

民事行政事件のうち、緊急性の高い以下案件については実施
・民事保全事件(行政事件の仮の救済手続を含む)
・DV事件
・人身保護事件
・民事執行事件のうち特に緊急性のあるもの
・倒産事件のうち特に緊急性のあるもの
また、刑事事件についても、多くの事件が期日変更、保釈など緊急性の高い事件は通常通り
 なお、裁判所に提出される文書の受付業務は、継続

    弁護士 池永真由美(本部オフィス・福岡市東区)

(4/8付け朝日新聞より)
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感染予防のためアクリル対面パネル設置しています

当法人における新型コロナ感染拡大予防の対策については、昨4/7にも当ホームページでお知らせしているところですが、粕屋オフィスでは、相談者・依頼者の不安を少しでも軽減できるよう、相談室の机上にアクリル製の対面パネルを設置して、面談を実施しております。

相談室には除菌用のスプレー・ウェットティッシュ等も備えておりますが、その他、御希望・御不明な点等ございましたら、予約時または面談時にお知らせください。

なお、対面パネルは朝倉オフィスをはじめ、他オフィスでも順次設置予定です。

  粕屋オフィス事務局

(対面パネル越しの高本弁護士)
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福岡地裁・家裁管内の裁判期日等が延期

昨日4/7の政府の緊急事態宣言を受け、福岡地方裁判所・福岡家庭裁判所管内の裁判所より4月中に予定されていた裁判期日等延期の連絡が、事件毎に届いています。

福岡地裁ホームページ
 https://www.courts.go.jp/fukuoka/index.html

なお、裁判等の御依頼をいただいている皆様には、担当弁護士より追ってお知らせ差し上げる予定ですが、御不明な点等ございましたら、各オフィスあてお問い合わせください。

 弁護士法人奔流

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最新解決事例のご紹介~離婚

先日、離婚事件についてレアケースの判決(原判決、控訴審判決)を受領しましたので、ご報告いたします。

 事案としては、配偶者の死後、自分と配偶者との間に離婚届が提出されていることを知った原告が、検察庁検事正に対し(※配偶者の死後は法律上検察庁検事正が被告となります)、離婚無効の確認及び離婚届提出後に提出されていた配偶者と第三者の婚姻は重婚状態にあるとして取消を求めたものです。

なお、過去の解決事例については、当ホームページにも掲載しています。

<事例分野>離婚
<解決年度>2020年
 原審は、前記離婚届が提出された以降も原告が配偶者と自宅にて生活するなど、その提出の前後で生活状況に変化がなかったこと、通常離婚に伴う財産分与等の清算手続きも取られていないこと、離婚届が提出された当時、原告が配偶者と離婚を決意するような動機もなかったこと、さらに提出された離婚届に記載してある「原告」の署名押印は、原告の筆跡とするには大きな疑問があり、原告の実印でもない、等の理由から離婚届を無効とし、その後の婚姻は重婚として取り消されると判示した。
これに対し、被告は控訴したが、控訴審も原審の内容を支持し判決した。その後上告の手続きは取られず判決が確定した。

弁護士 池永真由美(本部オフィス・福岡市東区)

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今週4/11は土曜相談日です(粕屋オフィス)

粕屋オフィスでは、休日相談として、今週4/11(土)のご相談をお受けしております。

4/11(土)10~15時(4名様まで、最終受付14時)

時間帯によっては空きもありますので、相談御希望の場合は、前日の17時までにお電話にて御予約ください。

次回休日相談は、4/25(土)の予定です。

なお、粕屋オフィスでは、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、下記の対策を講じて相談をお受けしております。
・面談相談時は、飛沫による感染を防止するため、換気扇を使用または窓を開放するなど換気に努めています。
・また、面談時の面談者間の距離を一定程度離し、また机上にアクリル製の対面パネルを設置しています。
・相談室には、除菌用のスプレーやウェットティッシュを備えておりますので、ご自由にお使いください。

粕屋オフィス092-719-0885

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様々な角度から多重債務問題に切り込む~多重債務相談に関する全国協議会から~連載②社会編

(本ブログ3/25付けのつづきです)
本ブログでは,協議会の中から市民の皆さんにも関連ある一部をご紹介しています。
今回は,ヤミ金やカジノ等,社会問題についてです。

ヤミ金から借入れをした人等の口座凍結問題
次に,ヤミ金からの借入れに利用された口座や振り込め詐欺に利用された口座が凍結されることに関する問題点について報告されました。そういった口座は凍結されてしまうことがあるのですが,警察庁から全国銀行協会に提供されている凍結口座名義人リストに登載されると,実際に犯罪に利用された口座だけでなく,その人のもつ全ての口座が金融機関によって凍結されてしまうことがあります。しかし,かかる金融機関の処置は誤解に基づく場合がありますので,そのような人からの相談を受けた際には注意して対応する必要があります。
犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律によると,金融機関が口座凍結の処置を採るのは,「当該金融機関の預金口座等について」犯罪利用預金口座等である疑いがあると認められる場合とされています(同法3条1項)。すなわち,口座凍結されることが法律上定められているのは,犯罪に利用された「当該」口座だけであって,その人の全ての口座が凍結されるわけではありませんし,その人が新規の口座をつくることは妨げられないこととなります。
しかし,金融機関の担当者の中には,犯罪に利用された口座をもっている人の一切の口座利用を認めないという不正確な理解に基づく処置をされることがあります。このような場合には,代理人弁護士としては,口座をもつことができないといった重大な不利益を回避するべく,上記の法律上の根拠を示したうえで,犯罪に利用されたわけではない口座凍結の解除や新規口座の開設を金融機関に対して求めていく必要があります。

カジノ問題の現状と課題
次に,2016年12月に統合型リゾート(IR)整備推進法案,通称「カジノ法案」が成立したことに関して,カジノ問題の現状について報告されました。
同法に基づくカジノには,民設・民営であること,ショッピングモールやレストランなどを一区画に含んだ複合観光集客施設であることといった特徴が挙げられます。カジノを設立することで,莫大な経済効果,雇用機会の増加といったメリットが存在します。
他方で,カジノを設立することによる様々な問題点も指摘されています。例えば,青少年の健全な育成の妨げとなること,カジノ利用者はヤミ金業者の標的となり得ること,カジノ利用者のギャンブル依存を引き起こしかねないことなどといったデメリットが存在します。そのような指摘もあるため,自治体によるカジノ誘致に対する反対運動が展開されています。各地の自治体には,このようなデメリットが社会問題・消費者問題になりかねないことを認識したうえで,カジノ誘致に取り組むことが求められています。
(次回へつづく)

 弁護士 北中 茂(宗像オフィス)

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