2023年12月22日、熊ヶ畑産廃場更新許可取消訴訟の控訴審の判決言渡期日があり、住民側敗訴を言い渡した一審福岡地裁判決を取り消して審理を一審に差し戻す判決が言い渡されました。
一審の福岡地裁は、熊ヶ畑産廃場における杜撰な展開検査や無許可業者への名義貸しなど住民が主張していた違法事由を「自己の法律上の利益に関係のない違法」(行政事件訴訟法10条1項)として門前払いし、これら争点に対する実質的な審理を行うことなく住民側を敗訴させていましたが、福岡高裁は、このような一審判決の判断が誤りであることを明確に指摘し、住民側の主張する違法事由について審理を尽くさせるため一審に差し戻す判断をしました。
本件のような行政を相手どった訴訟では、従来、原告適格(裁判を起こす資格)が非常に厳しく判断され、住民側の切実な要求が入り口で門前払いされてきましたが、この原告適格を拡大させる裁判例が積み重ねられ、平成16年に改正された現行の行政事件訴訟法でも当事者適格は拡大されていました。
にもかかわらず、一審の福岡地裁は、住民側の当事者適格を(しぶしぶ)認めつつも、今度は上記の行政事件訴訟法10条1項を用いて住民の「言い分」を門前払いしようとしたものであり、まさに時代に逆行する呆れた司法判断でした。
差戻し審では再び実質審理が行われることになりますので、最終決着はまだまだこれからですが、ひとまず今日のところは完全勝訴、住民の皆さんにとっても弁護団にとっても良いクリスマスプレゼントになりました。
弁護士 池永 修(福岡市東区 本部オフィス)