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2017年7月5日に発生した九州北部豪雨から早2年が経過しました。
被災地朝倉では仮設住宅の退去期限が迫っていますが、小川県知事は、朝倉市が「再建済み」又は「再建予定」としている9割以上の被災者との『公平』を理由に仮設の延長を認めない考えです。しかし、この間の福岡県や朝倉市との折衝の中で、実はこの「再建済み」には仮住まいとして親戚方などに身を寄せている方々(「仮再建」などと呼んでいるようです。)や早期再建を諦めて施設に入所した方々、災害公営住宅に入居「予定」の方々まで含まれており、「再建予定」の数にも仮設の期限内に移転できない方を含めていたことが明らかになりました。このような『復興』を印象付けるための数字の操作も論外ですが、そもそも道路も河川も崩れた法面も復旧していない地域からの被災者を1割未満に過ぎないとして切り捨てることが果たして『公平』といえるのでしょうか。明日は我が身。多くの市民の善意と力を結集し、被災者たちを支えていきたいと思います。
「老後2000万円問題」によりこの国の年金制度の実態が明らかになりました。
これまで国は、『100年安心』『現役世代との公平』といったキャッチフレーズのもと高齢者の命綱である年金を次つぎと削減してきました。シルバー世代は裕福とのイメージがありますが、実は高齢者がいる世帯の実に4分の1以上が生活保護基準以下の所得で生活しています。高齢者の単身世帯では男性36.3%、女性56.2%というとんでもない貧困率です。貧弱な年金制度を補うため『一億総活躍』などといって高齢者を低賃金で働かせ、その一方で団塊の世代が高度成長期に積み立ててきた総額約150兆円もの年金積立金は株式などに無責任に投資されています。この間、国が進めている年金削減が憲法に違反するとして全国各地で裁判が提起されていますが、国は、その裁判の中で「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)は年金だけで実現するものではないと開き直っています。では生活保護制度は機能しているのかというと、日本の生活保護の補足率は僅かに2割程度、約8割もの貧困層が生活保護も受給できず、憲法で保障された最低限度の生活を送れていないのです。
『公平』の名のもとに弱者を切り捨てる、強いものには忖度し、都合が悪いことには開き直る(受領拒否を含む。)、それが政治だと苦笑している間に、市民の暮らしは待ったなしのところまで追い詰められているようです。もうそろそろ目を覚まさないといけませんね。
暑い日が続きますが、皆様どうぞ御身体をご自愛ください。
2019年7月
代表社員弁護士 池 永 修