NPO法人九州アドボカシーセンターの活動

NPO法人九州アドボカシーセンターは、人権派弁護士を目指す学生を支援するため、
法科大学院制度が導入された2004年に設立した特定非営利活動法人で、
福岡県をはじめ、九州各県の法律事務所、弁護士有志からの協力と財政支援をうけて運営しています。

  • セミナーの開催
  • 裁判傍聴
  • 県内外の事務所訪問
  • 現地視察

等、年間を通して活動を行っています。
詳しくは、事務局までお問い合わせください。

〒812-0054

福岡市東区馬出2-1-22-2F 
弁護士法人奔流内

TEL. 092-642-8525

理事長挨拶

夢の実現をめざして

理事長 弁護士 馬奈木 昭雄

理事長 弁護士 馬奈木 昭雄

皆さんは、法律家になる夢を抱いて法科大学院に入学したのだと思います。どのような法律家として活動するのか、いろいろ考えているでしょう。久留米大学のキャッチフレーズは「そうだ!久留米で法律家になろう」です。私は、このコピーが大好きです。地域に、密着した大学で、地域の住民の日常生活に貢献できる、地域住民のための法律家になるのだ、という意欲が、よく伝わってきます。

私達は、自分の事務所を「地域事務所」と呼びます。まさに、地域の住民のために役立つ仕事をする事務所、という意気込みなのです。そしてこの活動、取り組みが、全国民の共通の課題に応えるものとなる、そのことが全国の国民の日常生活を豊かにする大きな力となる、という思いです。

当然、法律家になるために必要な努力が要求されています。みなさんは、これから一生そのために必要な学習を積み重ねていくことになります。私は大学院の授業の開始に際して、まっさきにフランスの詩人ルイ・アラゴンの言葉を紹介しています。「教えるとは共に希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むこと」これは、ナチスの侵略に対し、抵抗運動を行って、教授や学生に多くの犠牲者を出したストラスブール大学を語った詩の一部です。相談者と相談内容について語り合っている時、私はこのアラゴンの言葉を切実に感じる場面があります。私は本当に誠実に相談者と正面から向き合っているか、希望を語っているか、あらためて、そう胸に問いただすのです。

弁護士になると、いろいろな相談があります。依頼者の様々な悩みにどう答えるか、まさに弁護士の見識が問われます。私は、法律家の仕事には、その人の全人格がかかっている、と思っています。相談者は当然のこととして、自分の全生活をかけています。それにこたえる弁護士も、当然のこととして、自分の全人格をかけて応じるのだ、と思うのです。相談者の願いを正しく、正確に理解し、共に希望を語って最も適切な解決方法を指し示すことは、ある意味では弁護士にとっての夢です。さらに、それを具体的に実行して、現実のものとして実現することはさらに困難が伴います。私達は、その夢の実現に一歩でも近づくために、努力を積み重ねているのです。

私は、このアドボカシーセンターは、単に法律知識を習得する場をこえて、自らの求める法律家像を、自分達の手でつくり上げていく場でありたいと願っています。そのために、多くの仲間と手を取り合い、協力しあい、すでに何歩か先を歩んでいる弁護士達とも語り合って、その教訓を学びながら、自らの夢の実現に一歩ずつ近づいていくことができる場にしたい、と願っています。皆さんの多くの要求と、その実現を目指す取り組みを強化していくと共に、他方では、すでに弁護士として仕事を行っている私たちに、逆に初心を思い起こさせ、自らの仕事を反省し、見直す場にもなるのだと思います。

参加している皆さんと一緒に力をあわせて、住民の期待に応えることができる、住民に喜んで迎えられる法律家を目指して、このセンターの活動をよりよいものにしていきたいと願っています。みんなで夢の実現を追い続けたいと思います。

「久留米大学法科大学院教授(2004年当時)」

設立趣旨書

1 趣旨

恒久平和と基本的人権の擁護を高く掲げる日本国憲法が制定され半世紀以上経過し、この間のたゆまざる努力の中で平和と人権を基調とする社会的枠組みづくりも大きく前進してきたが、個人の尊厳、自立と連帯を旨とする現代市民社会の創造は未だ道半ばである。21世紀日本社会を文字通り「人権の時代」とするために、社会のあらゆる地域と分野に根強く残存する権力や暴力、圧迫と偏狭による差別や人権侵害を是正して人権の確保と伸長を促進するために、日常的に活動するアドボカシー(権利擁護)システムを多様なレベルで形成する必要がある。

とりわけ地域社会におけるアドボカシーシステムにおいては人権侵害に苦しむ当事者の意思決定を尊重しながら支援活動を展開する多くの市民ボランテイアを担い手として確保する必要があるが、その際各種の専門的知識と技能を有する者、とりわけ人権の専門家であり社会正義と基本的人権の擁護を本来的責務とする法律家は不可欠の構成部分である。しかしながら我が国の法律家人口は極めて少なく、地域社会のアドボカシー活動に参加しうる者も限られてきた。

そうした中、全国規模で系統的に法律実務家を養成するため本年4月から法科大学院(ロースクール)が開校されることは極めて大きな可能性を提供するものである。もとより将来の法律実務家が活動する範囲は極めて広く、社会的なニーズも多様である。加えて、単に専門的な法律知識や技能を修得するのみで、直ちにアドボカシー活動に従事しうるものではない。あらゆる地域や分野における生の人権課題に接し、差別や人権侵害に苦しむ当事者と交わり、多くの異なる社会経験やバックグラウンドを有する市民ボランティアから学ぶ中で、現在市民社会にふさわしい人権感覚を体得してこそ、アドボカシー(権利擁護者)として成長できる。

九州アドボカシーセンターは、アドボカシーシステムの担い手として活動することを希望する市民ボランティア、各分野における専門的アドボカシーを目指すもの、法科大学院生などを対象にして、現在多様な分野と地域の第一線で活動を展開している人権法律家や市民団体などとの継続的な交流機会や専門的・実践的セミナーなどの研修プログラムを提供するとともに希望する法科大学院生を登録研究生として自習室の無償利用や自主ゼミ開催等の便宜を図り、一人でも多くの地域社会で活動するアドボカシーを養成するとともに、広く市民を対象とする各種人権課題に関する広報研修出版活動等を行い、もって「人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚し」た日本国憲法の理念が息づく21世紀日本社会の構築と地域社会づくりに寄与することを目的とする。

2 申請に至るまでの経過

昨年来、福岡県下開設予定の法科大学院4 校における実務家教官に内定している弁護士や各分野・各地域において各種の人権課題に取り組んでいる弁護士や市民ボランティアなどが集まり、地域や分野の違いにかかわらず、ロースクールの垣根を越えて、幅広くアドボカシーシステムの担い手を養成していくことなど前記趣旨を目的とする組織を創立し、自ら資金を拠出するとともに賛同者からの寄付金等により事業を展開することに衆議一致し、2004年1月10日設立総会を開催した。また、組織と活動の継続性を担保するとともに公益活動としての社会的責任を明確にするためにも特定非営利活動法人として認証を受けて運営することが最も適切であるとの点で一致し、認証申請手続を行うこととした。

2004年(平成16年) 1月10日
特定非営利活動法人九州アドボカシーセンター
設立代表者 池永 満